

築 52 年の RC 壁式共同住宅の改修です。各戸区分所有ではなく 1 棟をワンオーナーが所有しており、先代から受け継いだ現オーナーからは建物を解体して新築するのではなく 地域のために現状を残したまま活かす事を求められました。昨今都心のタワーマンションなどは価格狂乱が生じておりますが、都心周縁部のターミナル駅から 1 駅行けば、このような ストックは入居者も多くなく不動産オーナーとしても悩みのタネとなっています。人口減少に直面する郊外においてストック活用するにも新築建て替えをするにしても金銭的な課題がハード ルが高く、そのまま使うにしても耐震性・断熱性など建物の性能面も課題になります。構造家との協議の中で「壁式構造は床を抜き吹き抜けを作ることで耐震性を向上する」という話が本物件の鍵となりま した。不動産的には真逆な発想で床を削減し、吹き抜けを作り不動産的な付加価値をつけることにしました。ただ事業費も決して潤沢でない状況から残りのお金で出来ることも限られており、 許される予算で断熱性のある程度担保された居住空間を作りました。結果生まれた、解体した状況でとどめた場所をカスタマイズルームと名付けています。予算が潤沢だったらカスタマイズ ルームは生まれなかったかもしれないですが、偶然にも生まれたこの部屋は荒々しさもあるからか内部でありながら自然の中にいるような不思議な空間となっています。3 層吹き抜けなど不 必要なまでのスケール感がそうさせているかもしれないです。ただこのカスタマイズルームを体感してから快適な居住空間を見ると、何か薄っぺらい物足りないを感じてしまう自分がいます。 枠にはめられているような、すべてが整えられている窮屈さのような感じです。それが賃貸住宅では普通の状態かもしれませんが、カスタマイズルームがあることで居住者の生活・暮らし・ 楽しみが広がり、暮らしの中での関わりが広がるような気がしています。
【建築データ】
所在地:千葉県松戸市
主要用途:共同住宅
工事種別:改築+減築
構造・規模:壁式鉄筋コンクリート地上 5 階
敷地面積:392.03 m²
延床面積:1085.40 m²(改修前)/498.39 m²(改修後)
主要外装仕上げ:既存 RC 躯体上吹き付け塗装を補修
主要内装仕上げ ( 居住エリア):壁・天井:ビニルクロス
床:シートフローリング
主要内装仕上げ ( カスタマイズルーム):
壁・天井:新規塗装+既存塗装、床:既存コンクリート
企画プロデュース:有限会社イセウ
構造設計:田中哲也建築構造計画
施工:株式会社小原建設
写真:鳥村鋼一