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光帯の家

光帯の家

敷地はバスも通る道路に挟まれた三角形の敷地でした。周辺は低層の住宅や工場が立ち並んでいましたが建て替えによって大きな倉庫・高層集合住宅・オフィスが立ち並ぶ環境になったそうです。道路からも集合住宅のバルコニーからも道路の反対側のオフィスからも覗かれる環境において如何に閉じつつ光を取り込むか?が設計のポイントとなりました。

敷地を観察してみると1番光が長く当たるのは三角形の先端部でした。周囲に道路がありマンションからも距離があり隣接する建物からも距離があるからです。ただ歩道に隣接しているので、歩いている人と目が合ってしまうなと感じました。一方で南側は光は限られた時間しか日が当たりませんが隣接する建物も同じ所有者であったので、互いの共有の庭になると考え南側に庭を計画しました。

リビングからは隣接した庭を楽しみながらの生活する事ができます。リビングは庭から段々と奥に行くに従い狭くなっていく三角形の形をしていますが「ソファを置くとこの場所に座りなさいと家具に指示されているようで嫌で、猫のように居心地の良い時に自由に場所を選びたい」というクライアントさんの意見で四角い形状でなくても良いしソファも置きませんでした。リビングから半階上がるダイニングキッチンを見るとチラッと光の帯が見えるように設計しています。

今回「終の住処を作りたい」という話をクライアントさんがしていたのが印象的でした。賃貸マンションにしようか?クリニックが入るビルを作ろうかと色々模索したそうですが、大きな借入までして下の世代に負担を作るのは何かおかしい、、、色々クライアントさんが模索をした結果が、最後の人生を楽しむ家でした。煌びやかな事でなく当たり前の事が楽しめるのが大切だと考え、ダイニングでご飯を食べる時に変化する光を楽しめるようにしています。毎日毎日太陽の高さが変われば、光の帯が変化していきます。そんな日の移ろいを見ながらクライアントさん達がこれからの日々を過ごして欲しいと思っています。

【担当】
鹿内健+小野寺理江

【受賞】
SUVACO いい家オブザイヤー2022受賞(総合1位)
https://suvaco.jp/doc/house-of-the-year-2022-221221

【テレビ放映】
渡辺篤史の建もの探訪(テレビ朝日)2022年8月20日
https://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2022/33

【物件データ】
計画地:東京都北区
主要用途:個人住宅
工事種別:新築工事
構造・規模:木造地上2階
延床面積:77.41㎡

設計:Sデザインファーム
施工:小川共立建設
写真:鳥村鋼一

【期間】
設計:12ヶ月
工事:5ヶ月